パチンコやスロット、公営競技(競馬・競輪・競艇・オートレース)のようなギャンブルにハマりすぎて、常にそのことが頭から離れなくなる状態を「ギャンブル依存症」といいます。
給料、貯金はもちろん、借金をしてまでもギャンブルに賭けるので、ギャンブル依存症の末路は借金地獄しかありません。とはいえ、ギャンブルをやめたいけどやめられない、ギャンブル依存症を治したいという人も多いです。
そこでこの記事では、ギャンブル依存症の末期症状と、ギャンブル依存症の治療にかかる費用と期間を解説します。
ギャンブル依存症の診断基準
ギャンブル依存症の診断基準には、5つの段階があります。
診断 | ギャンブル依存症の基準 |
---|---|
ギャンブル問題なし | ギャンブルをしたことがない |
リスクは 低いA | ギャンブルをしたことはあるが、1年のうちに1万円以上の損失を出したことがない |
リスクは 低いB | 1年のうちに1万円以上の損失を出したことがあるが、上記の基準項目には当てはまるものがない |
※以下は1年のうち1万円以上の損失を出し、さらに以下の項目に当てはまるもの | |
危険な段階 | 上記基準を1~2項目満たす |
問題のある段階 | 上記基準を3~4項目満たす |
ギャンブル依存症 | 上記基準を5項目以上満たす |
ギャンブル依存症の特徴と末期症状
ギャンブル依存症の特徴
ギャンブル依存症は、病的賭博として「ギャンブル障害」に位置づけられている病気のことです。
脳に不可逆的(一生残る)な障害を残すので、ギャンブルがやめられない人の意志や人格の問題ではなく、病気として認識する必要があります。
ギャンブル依存症の末期になると、ギャンブルをするために給料や貯金といった生活費を使い切ったり、ギャンブルのことをまわりの人に隠したり、嘘をつくことがあります。ギャンブル依存症の人は、給料日をギャンブルをするための「軍資金調達日」とあらわすことがあります。
また、ギャンブル依存症になると借金に追われて盗みや詐欺に手を出したり、自己破産や失業、自殺といった大きな問題が起きることがあります。
ギャンブル依存症の末期症状
- ギャンブルをするために、賭け金の額がどんどん増え続ける
- ギャンブルを途中でやめたりすると不安やイライラを感じる
- ギャンブルをやめようと努力したことがある
- ふとしたときにギャンブルのことが頭をよぎる
- つらい気持ちを紛らわすためにギャンブルをする
- 負けたお金を取り戻そうとして、またギャンブルにハマってしまう
- ギャンブルのことを他の人に隠して嘘をつく
- 大切な人間関係を失ったことがある
- ギャンブルのために借金をして誰かに金を借りることがある
ギャンブル依存症の治療期間と費用
ギャンブル依存症の治療期間と費用を解説します。
ギャンブル依存症の治療期間
ギャンブル依存症の治療期間は、およそ3年です。
ギャンブル依存症が回復したとされるまでには、「回復安定期」と呼ばれる期間があり、その期間がおよそ3年間とされているからです。
回復安定期には、お金を持つとギャンブルに行く危険性があるので、徹底した現金の管理が必要とされています。
ギャンブル依存症の治療費用
ギャンブル依存症の治療費用は、およそ20万円〜30万円です。
ギャンブル依存症の治療には保険が適用されるので、診察料の自己負担は3割になります。
病院の精神科の診察は、初診がおよそ3,000円、再診が1回およそ1,500円で、検査をするとおよそ5,000円かかります。カウンセリングは、1回およそ5,000円〜6,000円(30分〜45分)かかります。
費用の項目 | 費用の目安 |
---|---|
初診料 | 3,000円 |
再診療 | 1,500円 |
検査費用 | 5,000円 |
カウンセリング | 30分〜40分 5,000円〜6,000円 |
- 記載されている料金はあくまでも目安です
- 3割負担額
通院の頻度は個人差がありますが、毎週診察に行ったとすると、1か月におよそ6,000円(1,500円×4週)かかるので、3年間で20万円〜30万円かかる計算になります。
入院治療をおこなう場合には、入院期間と頻度によりますが、別途でおよそ40万円〜50万円かかります。
ギャンブル依存症を治療しない人の末路
ギャンブル依存症は、給料や貯金もギャンブルに突っ込んでしまうので、給料日の翌日にすでにお金がないということも多いです。そのため、借金が積み上がって、生活が成り立たないレベルの借金地獄が待っています。
借金地獄から抜け出せなくなると、最後は人生が詰みます。
借金地獄で借金が返済できなくなって人生が詰むまでの流れは、以下の通りです。
貸金業者から督促や取立てをされる
借金を繰り返していると、借金の利息の返済ばかりで元金が減らなくなっていきます。
毎月の返済額が増えていき、借金返済の遅れや滞納を繰り返していると、貸金業者から返済の督促や取立てをされることがあります。
貸金業者からの督促や取立てを無視していると、借金の一括返済を求められたり、訴訟を起こされるリスクがあります。
信用情報機関に事故情報が掲載される(ブラックリストに載る)
借金の返済遅れや滞納をしていると、信用情報機関に事故情報が掲載されます。
いわゆるブラックリストに載ることで、1度ブラックリストに載ると5年〜10年は、クレジットカードを新しく作成したり、ローンを組むことができなくなります。
信用情報機関は、CIC(貸金業法指定情報機関)・JICC(日本信用情報機構)・KSC(全国銀行個人信用情報センター)があり、各信用情報機関によって、ブラックリストに掲載される期間が違います。
信用情報機関 | 掲載期間 |
---|---|
CIC | 5年 |
JICC | 5年〜7年 |
KSC | 5年〜7年 |
借金の残債を一括返済するよう求められる
毎月の返済額が増えていき、借金返済の遅れや滞納を繰り返していると、貸金業者から借金の残債を一括返済するように求められる可能性があります。
一括返済を求められても返済できない場合は、保証人が代わりに借金を返済する必要があります。
保証員がいない場合は自己破産をする、あるいは保証人が支払えない場合は、保証人が自己破産をするケースもあります。
貸金業者に訴訟を起こされる
借金の督促を無視して、一括返済を求められても無視をしていると、貸金業者に訴訟(裁判)を起こされる可能性があります。
裁判を起こされることで、給料や財産を差し押さえられる可能性があります。
給料や資産を差し押される
借金の返済をせず、貸金業者からの督促や一括返済の要求を無視していると訴訟を起こされて、最終的には給料や資産を差し押さえられます。
生活が苦しんでいるからといって借金を返済しないでいると、さらに生活が苦しくなるだけです。
借金が返済できないほど膨らんでいるのであれば、1日でも早く弁護士に相談をして借金を減額するか、借金をゼロにする手続きを検討するべきでしょう。
ギャンブル依存症の治療方法
借金の状況を把握する
ギャンブル依存症を治療するには、膨らんでいる借金も合わせて返済していく必要があるので、まず現在の借金の状況を把握することが大切です。
- どの貸金業者から、それぞれいくら借りているか
- それぞれの借り入れの金利は何%か
- 毎月の返済額はいくらか
- 完済までの期間はどのくらいか
複数の貸金業者から借入をしている多重債務の状況だと、それぞれの貸金業者ごとの借入状況を把握できていないことがほとんどです。
借入状況をしっかりと把握して今後の返済計画を立て、徹底してお金を管理しながら借金を返済していくことが大切です。
家計を見直して節約する
借金の状況を把握したら、次に家計を見直して、借金お返済にあたられるお金がいくらあるのかを計算します。
- 固定費
- 住居費(家賃)
- 保険料
- サブスク
- 車のローン
- 通信費
- 流動費
- 電気・ガス・水道
- 携帯・スマホ料金
- 食費
- 日用品費
家賃が安い家に引越す、不要な保険やサブスクを解約する、基本料の安いネット回線に変更する、格安スマホや安い公共料金プランに変更するなどして、毎月の支出を抑えることができます。
毎月の支出が減れば返済あてる額を増やすことができるので、早く借金を返済できます。
ギャンブル依存症の専門機関に相談する
ギャンブル位依存症は、「病的賭博」と呼ばれており、ギャンブル障害に分類されている病気なので自力で治すことは100%無理です。
ギャンブル依存症の専門窓口に相談をして、ギャンブル依存症の意識を変えることで、今後ギャンブルをしない生活につながります。相談先は、ギャンブル依存症の当事者と家族それぞれあります。
また、ギャンブル依存症の治療をおこなっている精神科病院やクリニックでは、ギャンブル依存症の当事者または家族を対象とした勉強会・相談会を実施しています。
勉強会や相談会への参加は無料なことがほとんどなので、依存症対策全国センターで最寄りの相談場所を調べてみましょう。
借金を減額したりゼロにできる債務整理をする
ギャンブル依存症の人は、複数の貸金業者から多重債務していることがほとんどなので、ギャンブル依存症の治療と合わせて借金を返済する必要があります。
ただし、自力で返済ができないくらい借金が膨らんでしまっている場合には、債務整理を検討する必要があります。
債務整理は、いわゆる借金救済制度のことで、借金が返済できずに苦しんでいるひとを減らすために作られた合法的に借金を解決する手段です。
債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産といった種類があり、手続きをすることで借金を減額または帳消しにすることができます。
利息をカットして減額する任意整理
メリット | デメリット |
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将来発生する利息をカットできる 返済期間を見直して毎月の返済額を減らせる | ブラックリストに載る |
任意整理は、消費者金融やローン会社といった貸金業者と話し合いで交渉をして、将来発生する利息のカットや返済期間の見直しをする手続きです。
ただし、任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリストに載る)ので、およそ5年間はあらたな借り入れやクレジットカード、住宅ローン・自動車ローンといった審査に通りにくくなります。とはいえ、事故情報が消えれば、借り入れやクレジットカードの作成もできます。
任意整理をすれば、今後の利息がゼロになるので借金の総額が大きく減って、返済期間も見直すことで毎月の返済もしやすくなります。
借金を最大90%カットできる個人再生
メリット | デメリット |
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借金を最大90%減額 住宅は残すことができる(住宅ローン特則) | ブラックリストに載る 官報に載る ローン返済中の自動車は取り上げられる |
個人再生は、返済中の借金を最大90%減額して、残った借金を3年〜5年で返済する手続きです。
残った借金を3年〜5年間で返済できれば、減額してもらった金額は返済する必要がありません。ただし、個人再生にはデメリットもあります。
信用情報機関に事故情報が登録(ブラックリスト)されるので、5年〜10年間は新たな借り入れやクレジットカードの作成、ローンを組むことが難しくなります。また、住宅ローンを支払い中の自宅や、自動車を差し押さえられる可能性があります。さらには、国が発行する官報に住所や名前が掲載されます。
ただし、すでに借金の返済が遅れたり滞納しているのであれば、ブラックリストに載っているので、必要以上におそれることはありません。ブラックリストから消えれば、クレジットカードを組むことやローンを組むこともできるようになります。
借金をゼロにする自己破産
メリット | デメリット |
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借金がゼロになる 99万円以下の現金と生活に必要な財産は残せる | ブラックリストに載る 財産を差し押さえられる 官報に載る 一部の職種の就業制限を受ける |
自己破産は、借金を返済できなくなった個人が、借金をゼロにすることができる手続きです。自己破産の申請をして免責を受けると、借金の返済をする義務がなくなります。
借金を完全に免除することができる減額幅がもっとも大きい手続きで、自己破産には同時廃止事件と管財事件の2種類があります。一般的には、手続きがよりシンプルな同時廃止事件を適用することが多いです。
- 同時廃止事件
破産手続き開始決定と同時に、破産手続き廃止決定がされる - 管財事件
破産手続き開始決定したあとに、裁判所が破産管財人を選任して免責不許可事由がないか調査する。破産管財人による債権者集会が開催されたあとに、裁判所によって免責許可・不許可が決定される
自己破産をすると借金をゼロにすることができる一方で、財産が差し押さえられる可能性があります。自動車は、条件によって手元に残しておける可能性がありますが、土地や住宅は、手元に残すことができません。
任意整理や個人再生と同じように、信用情報期間に事故情報が登録される(ブラックリスト)ので、免責後から5年〜10年はクレジットカードの新規作成やローンを組むこともできなくなります。
自己破産には借金をゼロにできるメリットがありますが、多くのデメリットもあります。とはいえ、このまま自転車操業の生活をしていると借金まみれになって、すでに生活が苦しくなっているのであれば、いずれ債務整理をすることになります。
借金の状況によって選ぶべき債務整理の手続き方法がちがうので、どの手続きをおこなうか弁護士と相談をして決めるべきでしょう。
ギャンブルが原因の借金では自己破産は原則不可
ギャンブルが原因の借金では原則として自己破産をおこなうことができませんが、「裁量免責(さいりょうめんせき)」といって、裁判所から許可が出ればギャンブルによる借金でも自己破産できることがあります。
虚偽の申請はしない、反省や更生の意欲を見せ流といった誠実な姿勢を見せることで、裁量免責を受けることができる可能性があります。また、裁量免責は、弁護士や司法書士といった専門家に依頼することでも認められやすくなります。
ただし、ギャンブル依存による借金のでは自己破産は管財事件で進められるので、同時廃止事件よりも手続きが複雑で時間もかかります。
司法書士は書類の作成までであって、裁判所とのやり取りは自分でおこなわなければならないので、破産の手続きから免責決定まですべてサポートしてくれる弁護士に依頼するほうが良いでしょう。
ギャンブル依存症についてよくある質問
- ギャンブル依存症の性格は?
ギャンブル依存症の性格の特徴は、以下の通りです。
- ギャンブルを途中でやめたりすると不安やイライラを感じる
- ふとしたときにギャンブルのことが頭をよぎる
- つらい気持ちを紛らわすためにギャンブルをする
- ギャンブルのことを他の人に隠して嘘をつく
- ギャンブルのために借金をして誰かに金を借りることがある
くわしくは「ギャンブル依存症の特徴と末期症状」をご覧ください。
- ギャンブルの借金が返せないとどうなる?
ギャンブルの借金が返済できないと、以下のような流れで人生が詰む可能性があります。
- 貸金業者から督促や取立てをされる
- 信用情報機関に事故情報が掲載される(ブラックリストに載る)
- 借金の残債を一括返済するよう求められる
- 貸金業者に訴訟を起こされる
- 給料や資産を差し押される
くわしくは「ギャンブル依存症を治療しない人の末路」をご覧ください。
- ギャンブル依存症の分類は?
ギャンブル依存症は、病的賭博として「ギャンブル障害」に位置づけられています。ギャンブル依存症を自力で治すことは難しいので、専門機関に相談をして治療するべきでしょう。
ギャンブル依存症の分類については、「ギャンブル依存症の特徴と末期症状」をご覧ください。